モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/05/07(土) 19:48:19.42 ID:glNSs2qCo
隊長にとっての真の敵は別にある。
ずきりと体を蝕む痛み。
隊長にとって、唯一肉体に傷を付けているのは『外法者』の呪いである。
世界そのものである『ウロボロス』と対峙している時点で、その『外法者』のルール違反によるペナルティは尋常なものではない。
かつてアーニャと憤怒の街で戦った時など、比較してしまえば風邪気味の微熱のようなものだ。
今は精神に負荷をかけるだけではない。
世界による妨害は、事象の反逆だけでなく肉体の損傷にまで及んでいた。
脳髄は暴れまわるように熱を持ち、肉体の筋繊維は何もせずとも千切れはじめる。
超能力の制御さえも全力の半分以下もできていない。
「だがそんなこと、退く理由にならんだろう」
体から迸る流血も、脳を焼く雑音も、そんなことは些末なことだ。
彼の後悔に比べれば、彼が自らに架した願いに比べれば。
「俺の進む道に比べれば……」
右脚の筋繊維が大きく破れ、隊長は体勢のバランスを崩す。
それに迫りくるは、額を貫くように速度を増す結晶杭。
「こんなものは……甘すぎる!!!」
消してこれ以上力が入ることがないであろう割けた右脚で、地面を大きく蹴る。
両脚でその巨体を支え、隊長はその顔面を杭へと向け、大口を開ける。
迫りくる杭を歯の万力で受け止め、衝撃を首で殺す。
そして受け止めた杭を、右手でつかみ直し上空へと投擲。
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