モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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46: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 19:41:53.37 ID:glNSs2qCo

 空間さえもうねりを上げる超密度のサイコキネシス。
 樹海を丸裸にする勢いで、原生林を根こそぎ抜き取り宙に浮かせ、結晶杭に相対する弾丸として数多の樹木を背に携える。

 手数は互角。 
 人知を超えた両者の力は、譲らぬ意志をもって衝突する。

「Пожалуйста мертвым(死んでください)」

「これ以上死ねないほどに、殺し尽してやる」

 その両者の言葉を皮切りに、相対する弾丸は射出され、相殺を始めた。

 硝子の砕けるような音と、樹木が幹ごと割けるような音。
 その二つの乾いた音が、ただ二人しかいない樹海の空気を振動させる。

 アナスタシアの結晶杭は素霊によって形成された鋭利な槍だ。
 かつてまでならば力を使うごとに消耗していたアナスタシアだが現在の彼女に枷などない。
 自らに内包したウロボロスの無限の力を憚ることなく行使し、新たな杭を生成する。

 素霊はそもそもが魂の最小単位であり、それを集めた結晶を砕かれたところで元の素霊に戻るだけである。
 故に、アナスタシアが扱うことのできる杭の残弾さえも無限。

「数ならば、圧倒的にワタシが上です」

 一度に行使できる力には限界があるとはいえ、尽きることのないウロボロスの力によって絶えることなく杭はアナスタシアの頭上に現出する。
 空気が冷え込むような素霊の圧縮される音は、吹雪のような風切り音となりアナスタシアの周囲を取り巻いている。

 さらにこの樹海は小動物から微生物まで含めた多くの野生生物の住処である。
 故に日々に散る命も多く、空気中に漂う素霊の数も圧倒的に多い。
 アナスタシアはそれらに対し言葉を発することなく指令を与える。

「ワタシの手足となって、弾丸となって、殺意となって……。

あの男を殺して!ワタシの憎いあの男を!ワタシのために殺して!」



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