モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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40: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 19:36:27.55 ID:glNSs2qCo

 その背に透色の翼を携え、姿だけならばまるで天使のような。
 だがその存在は世界を閉塞に導く『願い』を秘めた終わりの一。
 『ウロボロス・アナスタシア』はこうなることを予期していたかのように、隊長の前に姿を現した。

「……そうだ。俺はお前からすべてを奪った。

親も、故郷も、その尊厳すらもな。

久しぶりだな、とでも言えばいいか?」

 アナスタシアとは十年を超える付き合いであったが、この人格とはいわば十年来の邂逅となる。
 隊長も、あの日のことは覚えていた。
 『アナスタシア』を殺したあの日のことは、はっきりと記憶に刻まれている。

「ええ……お久しぶりですね。

ワタシとしては、二度と顔も見たくはなかったんだけれども」

 アナスタシアから吐かれる言葉は、紛うことなく敵意である。
 目の前にいる者は、隊長自身が言った通り、大切なものをすべて奪い尽くした掠奪者である。
 その清廉なる姿からは、穏やかではない空気が漏れ出す。

「ハッ、予想通りの反応だな。

まぁ確かに、俺は恨まれてもおかしくはない。

その憎しみは甘んじて受け止めるさ」

 彼の行いは、結果的に言えばすべて仕方のなかったことである。
 故郷を焼き、親族と呼べるものをすべて滅ぼしたことにしても、それは仕事だったからだ。
 彼にそれを指示したものがいて、彼はそれをただ実行しただけ。
 暴力装置としての役目を担っただけである。
 その行いは許されることではないにしても、隊長自身の意志ではない。



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