モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/05/07(土) 19:31:40.57 ID:glNSs2qCo
「え、えーっとな。その……」
いざ言葉にしようとすると、うまく形にできない。
何となく、漠然とした不安感は、予感となって喉元まで出かかっている。
「その……、アーニャは帰って、くるのか?
ウチは、アーニャがあんな、状況だったなんて、しらなくて」
あの時、プロダクションに入ってきたアーニャの違和感に気づけたのは、美玲とメアリーの二人だけであった。
あまり接点のなかった紗枝はおろか、沙理奈や周子ですらその違和感にすぐに気付けなかった。
純粋であるということは、外界の物に対する直感が冴えているということだ。
経験を積むことにより、様々な感覚、いわゆる空気の流れや人の挙動の違和感などを察知できるようになる。
それに合わせ生来の直観を合わせることによって、達人と呼べるものは第六感と言うものを鋭くする。
しかし、情報が多くなるということは、取捨選択が必要になってくる。
それに対し、直感だけと言うのは、人の根源的な感情を察知出来るということであり、時には鍛えられた第六感をも凌駕する。
ゆえに、アーニャの体も違和感も感じさせず、敵意も発していない、中身の『感情』だけの変化を二人は察知できたのだ。
そしてそれは、周子が秘める今回の事件の収束点の想定すらも、人狼としての高い感受性が予感として感じ取ったのだ。
「ちゃんと……帰ってくるんだよな?
ウチがもっと、ちゃんと相談に乗っていれば、こんなことにならなかったのかなって……。
せっかくのカウンセリング担当なのに、何にも役に立ってなくて……。
だから……アーニャに、謝らないと……『気付かなくて、ごめん』って……」
美玲は見たのだ。
あのアーニャが作り出したであろう結晶杭が自らを貫こうとするときに。
その瞳の中にある諦めと、微細な後悔の念を。
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