モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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328: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:32:31.34 ID:nZ3oq+wSo

 そして前方、未だ空腹を喘ぎ狂気に落ちたままのウルティマ・イーターと称される少女を見て小さく問うのだ。

『だってお前、そこは暗いだろ?』

 六手の魔獣は包囲するように迫りくる蛇頭を捌きながら、眼前先の痩せこけた少女をまっすぐ見据える。
 少女の足元に流れ出る黒い泥は抱えた闇そのものだ。
 何よりも深く、そして底なしの狂気を孕んだ深淵の先を奈緒は知っている。
 そこは何よりも暗く深く、そして何物でも満たされない孤独の箱庭であることをだ。

『アタシは、確かに見たよ。あの子の闇を』

 奈緒の隣には追い付いてきた夏樹のアイユニットが漂う。
 天井付近にあったもう一つのアイユニットがウルティマの泥の獣に食われてからしばらく自失していたが回復したらしい。

『凍えるように暗くて、ずっと苦しい。

誰もがそこにいるんだが、誰もあの子を気に掛けない。

誰も反応しない他人なんて、それこそ孤独と一緒だ』

 少女を見ているのは数多の瞳だ。
 だが誰もが見て、囲むだけで触れようとしない。声にも答えずただそこにいるだけだ。
 反応もなく無抵抗に静止しているだけ。ならば少女から動くしかない。



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