モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
1- 20
326: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:31:20.49 ID:nZ3oq+wSo

 きらりを標的として向かっている蛇頭は前方のあらゆる方向から食らいつくさんと迫りくる。
 奈緒だけならばどうとでもなるが、後ろにきらりがいるとなれば話は別。放射状に迫ってくる蛇頭の一本でも後ろにいるきらりの元へと届かせるわけにはいかなかった。
 多様な軌道を描いてくる攻撃には、今の奈緒ではあまりにも手数が足りない。

「足りないなら、増やせばいいだろ!」

 思い浮かべるは目の前のウルティマが初めに行っていた泥の腕。
 その巨腕はロビー内の逃げ惑う人々一切を捕縛し、食らいつくそうとした暴食の魔手。
 ゆえに、手形らないのならば増やせばいい。単純明快な答えであり奈緒はつい先ほど見た『手』のイメージを基にこの場を対処できる手数を形作る。

(巨大な手じゃ強力だけど隙が多すぎる。じゃあ小さくて、その分数を足せばいい!)

 異形の獣の姿をした奈緒の纏った泥はさらなる変異を始める。
 背中が泡立ち、鋭利な爪を備えた強靭な腕が新たに4本生成され、奈緒の姿は獣よりもさらに禍々しい六手の魔獣へと変貌した。
 その姿は醜悪であり、まさに鬼とも悪魔とも形容できる魔性の容貌。
 だがこの際見てくれなどにかまっている余裕などない。

「まったく……こんな姿じゃどっちが悪だかわかりゃしないって。

だけど、仲間を守るためなんだから見た目くらい多少は仕方ないよな。だって大切なのは誰かを思う心だって!」

 後ろで倒れ伏せる心優しき少女ならこういうだろう。見た目とか行動とか目に見えるものだけが大切なのではない。本当に大切なのは何かを思う心であり、心があるからこそそれが現実に反映されるのだと。
 ならば奈緒も、今はきらりが大切だからこそ今ここで守っているのだ。そのためならば多少見た目が悪くても、結果が付いてくるのならば問題はないと判断する。
 自分を救ってくれたこの少女をこれで救ってお相子などというつもりもない。
 奈緒がこの場に立つ理由として、きらりが大切な友達であるだけで十分なのだ。

「うおおおお、らああああああぁ!』



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
558Res/632.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice