モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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321: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:28:12.80 ID:nZ3oq+wSo

 そもそも4人で同時にウルティマに攻撃すれば、このような劣勢にはならなかったかもしれないと奈緒の脳裏によぎる。
 実際、いつものように4人で協力していれば確かにウルティマは強敵であるもののここまでの苦戦は強いられなかったはずだ。

 だが所詮は過ぎたことだ。今この場でウルティマに相対しているのは奈緒だけである。
 きらりと李衣菜はこの同盟本部一階のホールの片隅で戦闘不能になっていた。

 そうした意味で幸いだったのは、動けない二人がウルティマの標的になっていないことである。
 ウルティマの攻撃物量は膨大であり、その獣性は脅威である。だがそれは単純な思考しかできないことであり、一度経験したことには無条件に慎重になってしまうことであった。
 単純に言ってしまえばウルティマにとってきらりと李衣菜は『触れたくない』のである。
 きらりは常時浄化の力を身にまとっているようなものであり、李衣菜は電撃を発することができる。
 触れられない浄化と触れれば自らに降りかかるかもしれない電撃はそれだけでウルティマへの牽制となっていた。

「だからって、事態は好転しないんだけど、も!」

 だが二人が戦えない事実は健在だ。今でこそウルティマの標的は奈緒に絞られているが、いつ他の二人に移るかもわからない。
 奈緒は出来るだけ注意をそらそうと大ぶりの動きをするが、それはただ悪戯に体力を削っているだけかもしれない。
 このままではじり貧なのは奈緒も理解している。ここでウルティマの本体へと切り込むかどうかを思考する。

『奈緒、下だ!』

 視界に映る蛇頭はすべて把握していた奈緒だったが視界の外であるその攻撃は、そのままであったなら一瞬の思考の隙をつき確実に奈緒の懐へと届いていただろう。
 だがその突如耳元に聞こえた声に反応し、その場を飛びのいた奈緒が目にしたのは足元の床を貫いてきた蛇頭が一つ。
 間一髪回避した奈緒は、追尾してくるその蛇頭を蹴り千切り、バックステップの勢いを殺すように床を滑りながら静止した。



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