モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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320: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:27:41.15 ID:nZ3oq+wSo



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 疾走する奈緒の背を追尾してくる髪の蛇頭は幾重にも編み込まれた暴食の触覚だ。
 蛇頭の顎は逃げるその背を捕らえようとする寸前で奈緒の疾走のほうが上回り、直前の床材を砕くに終わる。

 だが執拗に追ってくる蛇頭に切りはない。一つが仕損じれば、別の蛇頭がさらに奈緒の肉体を捕食せんと追い立てる。
 当然奈緒の背後から追うだけでなく、あらゆる方向からも蛇頭は奈緒を攻め立てる。
 時には進行方向正面。時には挟撃。時には上方。そしてさらには全方位から。

 だが奈緒も捕まるわけにはいかない。半ば意地によって保たれている全力疾走は、獣のそれと同等に近い。
 そしてそんな中でも冷静に戦況を把握しつつ、『単調』な蛇頭の動きを紙一重で躱していた。

「くっそお……しつこいんだよ!」

 脚で床面を蹴り返し方向を反転、そして向かい来る蛇頭を両腕の虎の爪で切り伏せながら悪態をつく奈緒。
 奈緒が蛇頭の本体である『カース』ことウルティマ・イーターの方へと目を向ければ、切り伏せられた蛇の髪は泥となって地面を這って行きウルティマの足元の泥の水溜りへと帰還、そして新たな蛇頭が奈緒の方へと向かってくる様子を目にした。
 その様子から、いくら蛇頭を切り離しても、それは泥となってすぐに主の元へと帰還し再生することを表していた。
 仮に、このサイクルを止めようと思うのならばおそらく浄化の力によって還元される前に泥を蒸発させなければならないだろう。
 だが、それが可能なきらりは奈緒の視界の片隅、壁にもたれかかって気絶している。

「いくら油断してたからって、本当に失敗だよ……。あたしがもっとちゃんと気を張っていれば」



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