モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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316: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:25:05.33 ID:nZ3oq+wSo



「これも一応素体は人間だ。であるならば『原罪』は必ずある。

ならばそれを一つ一つ呼び起こしていけばいい」

「暴食の核、移植実験を行う。なお本実験はこのイチノセの指揮の下で行い、緊急時にはコロナ・プロセスによる終了手順に則る」

 随分と久しぶりに、なかまが入ってきた。
 いや、それは仲間なんかじゃない。形はなくて、とても暗くて、誰もが持っているもの。

 空気のようにかたちのないそれは、すぐにあたしの中に充満する。
 みんながそれに晒されるたびに騒ぎ出すのだ。

『お腹空いた』

『ご飯食べたい』

『ああ、痛い。空っぽのお腹がいたいよ』

『もっと、もっと、足りない。足りないの』

 たまらなく、おなかが空いてくる。
 なんだか久しぶりに目を開ける。ああ、まわりはご飯でいっぱいだ。
 あたしは『誰』だっけ。まぁいいや。みんなで食べよう。

『僕はこれ』『私はそれ』『じゃあぼくはこれ』

 みんながみんな、思い思いにご飯を食べる。
 ああ、でも足りない。まだ足りない。あんまりおいしくないけど、この空腹は口の中に唾を出し、文句も言わず食べ続けろとあたしに指示する。
 この目はおいしい。脚はあんまりおいしくない。腸は歯ごたえがあって癖になる。耳は苦手。心臓は特に大好き。



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