モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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315: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:24:24.78 ID:nZ3oq+wSo

『僕は――』

『私は――』

 新たに加わるみんなの名前は、あたしの意識に届く前に溶けて行ってしまう。
 もう溶け合って、姿が見えなくなったみんなもいるけど、あたしはいつになってもそこには行けない。
 後から来たみんなに先を越されて、わたしはずっと一人きりで痛いのを繰り返す。

 どうかみんな、あたしを仲間はずれにしないで。あたしもその『中』にいれて。
 一緒に混じって溶け合って、あたしもあたしだけが感じる痛みから抜け出したいから、だから。

『それはダメだよ。なお』

 あたしが頼んでも、みんなはそう言ってなかまにいれてくれない。
 あたしだけがいたいままで、あたしだけが苦しいままで、みんなも感じているはずの痛みは、あたしだけがあたし一人として受けている。
 心を共有できない悲しみであたしは一人涙するのだ。

 もうこんな『椅子』いらない!
 あたしもみんなと一緒になりたい!

「……実験失敗。この程度の戦闘能力もないのでは駄目だな」

 ぐちゃぐちゃ、ばりばり。
 あたしは壊れる。砕かれて、溶かされて、元に戻って、砕かれて。

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

 あたしは逃げ出した。でも鎖は相も変わらずその椅子につながっている。



 


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