モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:23:41.98 ID:nZ3oq+wSo
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いつのころからか、とてもおなかが空いていた。
「第――次、細胞移植実験を始める」
はじめは、沢山の『みんな』を繋げられた。
その誰もが、痛い痛いと泣き叫んでいて、切り刻まれて縫い合わされてくっ付けられるたび、そのみんなの数だけ痛みは倍増していく。
いつも頭の中にはみんなの苦痛が溢れていて、そしてあたしも例外なく体中が痛くていつも泣いていた。
だけどたくさん繋がれていたから、どれがあたしの目なのかわからなくて、仕方ないから出せる場所からはとにかく出した気がする。
逆にそれはみんなにとっても例外じゃないから、いろんなところからみんな出していた気がする。
いつも響くみんなの声であたしの声がよくわからなくなっていく。
ぞうさん、きりんさん、くまさん、おうまさん、とらさん、みんな、みんなみんなみんなあたしにつながっていて、あたしはどれとも違っていたはずだったのに、いつの間にかみんなと溶け合っていた。
あたしは『何』だったのか、姿がよく思い出せなくなって、寄り集まったみんなと一緒に溶けていく。
そしてみんなの中にあたしが溶けきったら、それでこのみんなの痛みからあたしは解放されるのかと、やっと楽になれるのかと思ったら。
どこかの誰かが、いつもその直前で引き上げるのだ。
いや、どこかの誰かじゃない、誰もが、みんなが、あたしがいなくなることを拒んでいる。
そしていつも、どうあがいても、その中心に座らされて新たな『みんな』を歓迎しなければならなかった。
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