モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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307: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:19:17.58 ID:nZ3oq+wSo

 APの舌打ちの理由、それはことごとく予想が裏目に出て、なおかつ最悪の方面へと舵を切っていることである。
 そもそもAPの第一目的は結界の排除、およびその術者の排除である。
 結界などの力はそもそもが空間に作用するものであり、規模に比例して力を消耗する。
 当然維持するための集中力も相当なものになり、その間無防備になる結界能力者を護衛する者もいるだろうと踏んでいた。

 だがあの少女、くるみはその能力が自らに対して『自動』で働いていた。
 パッシブであれほどの強度の結界を実現するということは、並大抵の能力限界ではないうえに、デフォルトであの怯えた小動物のような精神状態だ。
 元から錯乱している人間に対し、攪乱させて集中力を途切れさせ結界の解除させるなど無理な話である。
 言わばくるみはAPにとって今までの結界能力者の常識を覆すような存在であり、力ずくで突破できる存在ではないことを意味していた。

 さらに厄介なのは目の前の『甲冑』のゴーストだ。

「……コイツ、結界と同じか」

 突破口の一つの解として考えられるのは、くるみを気絶させることである。
 仮に結界で守られているにしても、目の前で攻撃を続けその精神を追い詰めていけば何れは防衛本能で意識を手放すだろう。
 実際あの小動物的な気質が彼女であることが正しいのならば、そういった手段をとることも難しくない。

 だがそこで直接危害を加えることをこの甲冑は邪魔をしてくる。
 推察するにこの甲冑の『ゴースト』は結界と同じ力でできている。すなわちこの『ゴースト』の持ち主もくるみであるということだ。
 結界による鉄壁の防御だけでなく『ゴースト』による反撃という攻撃手段を持ち合わせている以上、APはくるみに対して一方的に攻撃することは出来ず、甲冑の相手も必要となる。

 実際あのくるみという少女は決して戦いに向いているような性格ではない、臆病で小心者な弱虫だ。
 だが、戦わずとも自らを守るための『陣地』と『防衛』の能力が極まっており、彼女の一人で鉄壁の城砦が完成してしまうまさに聖域の守護者だ。



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