モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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306: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:18:49.50 ID:nZ3oq+wSo

 APは距離を取ったことによってその影の全容を知る。
 2メートル近くあろうその『甲冑』は独特の意匠の物であり、創作上の騎士を思わせる風貌である。
 その手には『刃』のない西洋剣が握られており、刃などなくともその重さのみで人を圧殺できるだけの重圧がある。

 そして何より甲冑から常に漏れ出している、否、甲冑をも形成している不定形の光るエネルギー体は、その甲冑の騎士『自体』に中身が存在しないことを表していた。

「……『ゴースト』」

 同盟のヒーローにも同じような能力者はいる。
 人の心の奥底の具現であり、実体を持った幽体。
 ならばさしずめ、あの騎士は自らを危険から守ってくれる近衛の騎士か。

「……メルヘン趣味が」

 そしてAPは騎士よりも先、グレネード弾を撃ち込んだ先を見据える。
 確かにその場は焼け焦げ、スプリンクラーが回っているが明らかに爆発に見合う被害ではない。

「……な、なんなんでしゅか?あなたは?」

 そして依然『傷一つついていない』ベンチに座ったまま『無傷』の少女は、顔面から液体を流出させながら相も変わらず怯えたままこちらを見ている。
 つまりは先制攻撃など無意味だったかの如くの状況であり、戦況としては姿を隠していたアドバンテージすら失ったこちらの分は明らかに悪くなっていた。

「こ、この……くるみに、なんのようでしゅか〜!?」

「……チッ」

 くるみと名乗った少女は、泣き叫びながらAPへと尋ねてくる。
 だがその疑問にAPは返答することなく、小さく舌打ちをした。



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