モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:08:36.14 ID:nZ3oq+wSo
そしてその巨腕を大きく振りかぶり、先ほど自らが叩き付けられた大理石の壁に向かって投げつける。
その一撃だけできらりの意識は刈り取られ、今度は逆に粉塵の中に沈んだ。
『タベタイダケナノ……オナカ、スイタノオオオオオオオオオ!!!』
駄々をこねる子供のような叫び。
だがそれは明らかに小さな体躯に収まることのない感情が載せられている。
夏樹はその姿に見覚えがあった。
かつて自分たちを閉じ込めていた悪魔の研究所。その最奥にとらわれた少女の姿を思い出す。
体躯は幼児のように小さく、痩せさらばえ、そして幾度となく飢えを訴えるその少女は、明らかに彼女と重なるのだ。
「なんだよ……あいつは?
小さいし、とてつもなく痩せてるけど…あの姿は、奈緒……なのか?」
あの日の悪夢は終わっていない。彼女にとってもそうだし、無論『彼女』は未だに飢えているのだから。
***
時間は少し遡り、コーヒーショップの中。
その『カース』の姿を見た瞬間に奈緒はその正体をなんとなくわかってしまったのだ。
あれが自分と同一であり、それでいて決定的に分かたれていることを。
「なんで……あたしが?
――って、あたしは何を、言っているんだ?」
なまじ理解してしまったが故であった。
ネバーディスペアの4人の中でそれに最も早く気が付いたのは奈緒であったが、脳裏で理解してしまった情報は中途半端なせいで逆に迷いを生んでしまう。
その思考時間はあまりにも致命的であり、その他の者たちにとっては十分すぎるほどの行動時間であった。
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