モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 02:07:52.33 ID:nZ3oq+wSo
それは『彼女』が一番に初めに気づき、ゆえに動揺したために出遅れたことの理由であった。
彼女以外は気づかなかったし、誰から見ても少し特殊な『カース』なだけだと判断してしまう。
だが浄化によって外装がはがされ、『中身』が露出すれば話は別だ。
その姿は否応なくある少女と重なり、決して無視できなくなる。
瞳には生気がなく、その細腕は皮と骨に近い。
小さな体はドレスのようにも、ぼろきれ同然の外套にも見える黒い幕で覆われている。
そして髪の毛は癖っ気のある漆黒で、その黒は狂気を孕み肥大化している。
伝承のゴルゴーンのように、髪の毛はうねり泥と一体化している。
そこから伸びる数多の腕は、自らの主である少女に供物をささげるべく当てもなく揺らめいていた。
『ダカラネ……アタシ、オナカガスイタノ。
ガマン、デキナイノ。ナノニ、ドウシテ?』
その濁った瞳は何も映していない。
ただ純粋のまま、何も知らぬ無垢なまま、奈緒に向き直る。
『ドウシテ、ジャマスルノ?アタシハ、コンナニモ、オナカガスイテ、カナシイノニ、クルシイノニ、イタイノニ、タエレナイノニ、ノニノニノニノニノニ!』
「あ……いやああああああ!!!!」
きらりを締め上げる巨腕はぎりぎりと圧が増す。
口調さえも維持できない苦痛によってきらりは思わず悲痛な叫び声を上げる。
『ドウシテ!ナンデ!?』
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