モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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290: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/10/18(火) 02:07:20.00 ID:nZ3oq+wSo

『イラナイイラナイ……オネエチャンハ、イラナイ。

アツイシ、イタイシ……オネエチャンハ、タベラレナイネ』

 先ほどまで人々を捕らえていた黒い巨腕は、以前圧倒的な暴性を放っている。
 その握りこぶしの先、幾人をも掴みあげることさえ可能なそれは、たった一つの身体をつかんで継続的に圧をかけていた。

「に、にぃ……」

 巨腕に掴みあげられて苦しそうに呻く少女。いつも明るく、誰からも希望であった少女は拘束から逃れることができず、締め上げられるたびに身体がきしむ音が響く。
 掴みあげている腕のほうも、少女の持つ浄化の力によって表面が蒸発しているが、そんなことは関係ないほどの泥の密度によって力は一切緩むことはなかった。

「きらり!!」

 夏樹が目撃したのは、最悪の状況であった。
 黒い巨腕によって拘束され、苦悶の表情のきらり。

「……ふが、が」

 そしてロビーの奥。
 強い勢いで叩き付けられたかのようなクレーターが刻まれた壁の前で、だらりと四肢を投げ出している李衣菜。
 相棒のギターは少し離れたところに放置され、ネックは折れていないものの弦は切れてすでに使い物にならない。

「……く、くそ。なんでだよ」

 ロビーの中心。きらりを掴みあげる巨腕の主の前。
 全身に泥の装甲を纏ってはいるが、すでに息を上げながら膝をついている奈緒の姿があった。

 そして何よりも。

「……な、奈緒?」



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