モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/10/18(火) 01:54:51.81 ID:nZ3oq+wSo
『……クスクス、クスクス』
『くすくす……クスクス』
『アハハ……クスクス』
視界を埋め尽くす灰色の砂嵐。当てもなく歩き続ける中ずっと続いてきたそれは、笑い声の数と反比例するように薄れ始める。
そこは歩くたびに体中が重くなり行く手を阻むが、体はあたしの意に介さずゆっくりと進む。
歩み進んだ先の景色もやはり灰色だ。
だが薄れ始めた灰色の砂嵐はその中に、一つの情景を形作り始める。
「……遊園地?」
離れた空には巨大な車輪。
身の丈ほどの大きさのマグカップや作り物の艶を出す回転木馬を備えた円形幕。
金属柱を組み上げたレールの上で静止したジェットコースターや海原に進みだすことなく左右に揺れるしかない海賊船。
どこにでもあるような、その言葉を聞けば万人が想起するようなアトラクションが備えられた娯楽の園。
だがその遊園地は相変わらず古新聞の写真のように白黒で、視界に走るノイズ以外に動きのない静止した空間だった。
「そういえば、遊園地なんて行ったことなかったな」
ネバーディスペアの活動を始めてからすでにそれなりの時が立っている。
異形の見た目のために、その活動以外では外に出ることは少ないために、娯楽目的でこう言った遊園地のような場所に来る機会はあたしにはなかった。
だが知識としてはどういう場所か知っているので、その風景が遊園地であることは認識できたのだ。
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