モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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◆EBFgUqOyPQ
[saga sage]
2016/08/03(水) 22:46:33.27 ID:vTRpaymho
「……チッ」
エイビスは小さく舌打ちをする。
その苛立ちは先ほどのものとは違っていたが、そのことを彼は気にせず口に含んでいたキャンディーの棒を外に放り投げた。
「……大したことじゃねえよ。詳しく気になるならイルミナPにでも聞きな。
オレは誰かに教えた覚えはないが、どうせオレがどういう存在かは知っているはずだ。
だから、詳しくは言わねえ。ただ……オレは、オレであることの証明のために戦ってるだけだぜ。
オレはアイツじゃない。オレは人ではなく沼地の男で、深淵だと。アイツではないオレだということのために」
トラックのエンジン音が車内に静かに響く。
互いに目を合わせず、知り合ってからは長いのにその距離はいまだ変わらない。
「ハァ……だから嫌なんだ。辛気臭え。
ひとつ忠告しとくが唯、誰もがお前のように目的を持って行動してるわけじゃない。
オレみたいに手段が目的になっている奴なんてごまんといるぜ。
闘争やら戦争に憑りつかれた奴なんて、それこそ珍しくもない。
……だが目的は無くても、理由ならあるやつが大半だ。
本当に理由もなく、ただ単純に闘争を……いや、殺人を楽しめる奴こそが、本物の『狂人』だよ」
エイビスの脳裏に浮かぶのは漆黒の義手を備えた長身の女の影。
その闘争を求める姿勢こそ同じなれど、彼と彼女には根本が天地の差がある。
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