モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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217: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/08/03(水) 22:46:33.27 ID:vTRpaymho

「……チッ」

 エイビスは小さく舌打ちをする。
 その苛立ちは先ほどのものとは違っていたが、そのことを彼は気にせず口に含んでいたキャンディーの棒を外に放り投げた。

「……大したことじゃねえよ。詳しく気になるならイルミナPにでも聞きな。

オレは誰かに教えた覚えはないが、どうせオレがどういう存在かは知っているはずだ。

だから、詳しくは言わねえ。ただ……オレは、オレであることの証明のために戦ってるだけだぜ。

オレはアイツじゃない。オレは人ではなく沼地の男で、深淵だと。アイツではないオレだということのために」

 トラックのエンジン音が車内に静かに響く。
 互いに目を合わせず、知り合ってからは長いのにその距離はいまだ変わらない。

「ハァ……だから嫌なんだ。辛気臭え。

ひとつ忠告しとくが唯、誰もがお前のように目的を持って行動してるわけじゃない。

オレみたいに手段が目的になっている奴なんてごまんといるぜ。

闘争やら戦争に憑りつかれた奴なんて、それこそ珍しくもない。

……だが目的は無くても、理由ならあるやつが大半だ。

本当に理由もなく、ただ単純に闘争を……いや、殺人を楽しめる奴こそが、本物の『狂人』だよ」

 エイビスの脳裏に浮かぶのは漆黒の義手を備えた長身の女の影。
 その闘争を求める姿勢こそ同じなれど、彼と彼女には根本が天地の差がある。



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