58:名無しNIPPER[saga]
2016/06/08(水) 02:44:54.06 ID:zkSeOWuZ0
家々の窓という窓から、明かりが外へさしてきて、ガチョウの焼き肉のいい匂いが往来までプンプンと漂っていました。
それもそのはず、今日はクリスマス・イブですもの! 豪華なご馳走の匂いと一緒に、楽しそうにはしゃぐ幼い子どもたちの声も聞こえてきます。
マホ「う… マホもクリスマスのご馳走、食べたいですぅ…」ジュルリ
マホはこみあげるヨダレをぬぐい、明かりのもれる窓の一つを覗いてみました。
ドタバタドタバタッ キャーッキャーッww ドタンバタンコケコッコォ――ッ!
池田「コラーッ! お前たち! いつまで遊んでるんだ! ガチョウの丸焼きができたぞっ! 早く席につけ!」
緋菜「ガチョウ? そんなモノいらないし! ゴージャスセレブプリンが食べたいし!」
池田「ゴージャスセレブプリンは3時間くらい並ばないと買えないんだよっ! こんな寒い中そんなに待ってられるか!」
菜沙「ゼイタク言うなし! ゴージャスセレブプリンのないクリスマスなんてありえないし! 早く今から買ってくるし!」
城菜「お姉ちゃんは… 本当に、使えないコだし…」
池田「うるさぁ――いっ! ワガママばかり言ってる子どもにはサンタさんが来てくれないぞっ! ツベコベ言わずに私が作ったモノを食べるし!」=3
姉に急かされて、シブシブ食卓についた三つ子たち・・・ そのテーブルの上には、ガチョウの丸焼きのほか、ホクホクのフライドポテトや、トロリとしたチーズがたっぷりのったピザ、チョコでできたツリーの飾られたショートケーキなど、豪華なクリスマスのご馳走が所狭しと並んでいました。
マホ(…バカなこと言ってます。 サンタさんなんか、この世にはいないのに… マホは一度もクリスマスプレゼントなんかもらったことありません)スッ
ため息をついて、再び冷たい石畳に腰をおろしたマホ・・・
彼女の小さな手は、寒さのためにもうほとんど感覚がありませんでした。
ああ! 一本の小さなマッチでも、こんな時はどんなに役に立つかしれません。
マホは、かじかむ手でマッチのたばから一本引き抜き、壁にこすって火をつけました。
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