431:名無しNIPPER[saga]
2017/04/10(月) 22:33:35.50 ID:lgsX17cTo
「そうなのよ。突然、唯がまじめになってあたしもびっくり。でも、こっちの方が全然い
いわ。夜遊びもしなくなったし、付き合っている子たちもまじめな子ばかりになったし」
姉さんはそう言って笑った。
「じゃあ、唯って今では彼氏とかいないの?」
「なあに? あんた、唯の恋愛とか気になるの。あんた、唯のこと好きなの」
「全然。全くそういう気はありません」
・・・・・・俺が好きなのは姉さん、あんたなのに。
「まあ、あんたはもてるしね。わざわざ幼馴染なんか好きになる必要もないか」
「別のもててねえし」
「嘘つけ」
そろそろこの会話が苦しくなってきた。下手をしたら自分の感情を制御できなくなりそ
うだ。そのとき、タクシーが来て、母親が俺のことを迎えに来た。
「タクシー来たよ」
「ああ」
姉さんがその細い白い手で俺の手をそっと握ってくれた。
「じゃあね。早く帰って来てね」
「んなもん、父親次第だよ。俺に言われても」
姉さんの手の感覚を気にした俺は、胸のときめきや感情の揺れを必死で抑えながら答え
た。
「由里子ちゃん、元気でね」
母親が姉さんに言った。
「はい。おばさんもお元気で」
姉さんは俺の手を離してにっと笑った。「ついでに、あんたも元気でね」
「俺はついでかよ」
その時は気にしなかったけど、唯はその場に姿を現さなかった。あとで聞いたけど、こ
の日、唯は中学の先輩に告って振られたらしい。
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