雑談しようぜ Part3
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432:名無しNIPPER[saga]
2017/04/10(月) 22:34:05.59 ID:lgsX17cTo

 東北での生活は楽しかった。姉さんと唯がいないことは寂しかったけど、それ以外では
全く不自由のない生活だった。友達もすぐにできたし、同級生の女の子に告られもした。
結局、付き合いはしなかったけど。二年次編入なのだけど、住まいや学校の周囲の環境は
最高だった。美しい田園や青い海があり、市街地の方に行けば、大きなショッピングセン
ターがありゲーセンもある。遊び場所にはことかかなかった。それでも、姉さんや唯はい
ないのだ。

 姉さんはよく夜に俺に電話をくれた。LINEだと俺の声が聞こえないからって。正直、嬉
しかった。



『どうしたもんかなあ。無理だって言ったんだけどさ』

『相手は誰?』

『生徒会長。でも、唯の同級生の二見って子と付き合ってるのよ。どう考えても無理ゲー
でしょ』

『俺、二見って子知ってる。無口で暗い印象だけど、顔とか可愛いしスタイルもよかった
よな』

『何よ。あんたも狙ってたの?』

『違うって。でも、いくら唯が可愛いからって、その子から彼氏を奪うのは無理っぽいよ
な』

『うん。結局、振られたわけだけど。まあ、唯のことだからすぐに元気になってほかの男
を探すとは思うんだけどね』

『まあ、略奪愛は無理でも、相手のいない男なら大抵は唯に落ちるんじゃねえの? あい
つ可愛いし』

『あんたが狙ってたのは二見さんじゃなくて、唯の方か』

『全然ちげーし』

『あんたは? 今、彼女とかいないの』

『いない』

『嘘つけ』

『本当だって。姉さんはどうなんだよ。彼氏とかできた?』

『あたしにそんなものできるわけないじゃん。あんた、喧嘩売ってるの』

 いないのか。それが本当ならすごく嬉しいけど。俺は最近、すごく非現実的な妄想を思
い浮かべていた。俺と姉さんと唯が、お互いに恋人なんか作らずにいつまでも近所で生活
するという夢だ。もちろん、現実的にはあり得ない妄想なのだけど。どういうわけか、そ
れはすごく甘美な想像だった。そのことを考えているだけで、幸せな感覚に包まれて二、
三時間は平気で過ごせるほど。


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