87: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/05/27(金) 23:01:32.45 ID:aj4xDXo6o
ミュウツー『行くぞ』
慌てて振り返る。
友人たちは、もうこちらに背中を向け、歩き出している。
よく目にする、いつもの、なんでもない光景だった。
ジュプトル「ま、まてよー」
ミュウツー『早くしろ』
にも関わらず、ジュプトルは妙にそわそわした。
ああ急がなければ、と焦る。
遅れずついて行かなければ、と逸る。
ジュプトル「いく って……」
思うように舌がまわらず、喉も動いてくれない。
まるでずっと前の、今よりなにもかもが未熟だった頃のようだ。
なにもわかっていない、わかろうともしていなかった頃のようだ。
それはとても困る。
絶対に嫌だった。
ジュプトルの挙動不審に気づいたのか、ダゲキが振り返った。
少し不思議そうに眉間に皺を寄せている。
ダゲキ「おなか すいた?」
ジュプトル「す、すいた!」
なかばやけになりながらそう叫ぶ。
本当は、別にそこまで空腹でもない。
なんでもいいから、早く反応したかったのだ。
一刻も早く問いかけに答え、ちぎれてしまわないようにしなければならなかった。
がむしゃらに草を蹴り、ダゲキの背中に飛びつく。
彼が何か言おうとしてやめた気配があった。
言っても無駄だと理解したに違いない。
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