88: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/05/27(金) 23:04:18.32 ID:aj4xDXo6o
丸い頭によじ登り、ジュプトルは盛大に喉を鳴らした。
これで、やっと一息つくことができる。
ダゲキ「くすぐったいよ」
ジュプトル「いいじゃん」
文句を言うかわりに、ダゲキがかすかに唸った。
それから深い溜息をついて、ううんと呻く。
ジュプトル「なに?」
ダゲキ「あのさ」
ミュウツー『なんだ』
ダゲキ「……ミライって、なんだろう」
ミュウツーが、ゆっくりとした動作で振り返った。
世にも恐しい目つきで、ダゲキを見ている。
自分に向けられたものではないのに、ジュプトルはひやりとした。
怒っているようでもあり、怯えているようでもある。
とても強い感情によるものだということはわかる。
彼は、この視線に気づいているのだろうか。
ジュプトル「お、おれは……」
何も言わぬまま、ミュウツーは再びゆっくりと前を向いた。
ダゲキ自身はジュプトルの重みを受け、やや下を向いているはずだ。
あの目には、気づいていないに違いない。
ジュプトル「……わかんない」
ダゲキ「うん」
ミュウツーはそれきり、こちらを振り向こうとしない。
振り向いていないのに、まだ背中から視線が向けられているようにさえ思えた。
ヨノワールは、そんなミュウツーを困ったように見ている。
ダゲキは、少し先の地面を見て、ひたすら歩いている。
ジュプトルは、妙な落ち着かなさを覚えていた。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20