71: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:59:26.57 ID:WHcPEpPlo
笑っているのは私だ。
ずっと聞こえていたのは、私の笑い声だったのだ。
私は腕をまっすぐ伸ばし、友人たちのおぞましい姿を指して嘲っている。
喉を震わせ、声を響かせて笑っていた。
罪深いからだ。
穢れているからだ。
違う。
『お前たちを苦しめているのは、遥か遠い過去の亡霊だ』。
そう言ってふたりを落ち着かせるべきだ。
笑うことも、今すぐやめるべきだ。
なのに、どうしてもできない。
あれは私の友人たちではないか。
すると突然、目の前に大きな影が現れた。
赤々と輝く大きな目玉が、私を見下ろしている。
それでも私は、狂ったように笑うことをやめようとしない。
赤い一つ目の主は、私と彼らを隔てるように立っている。
邪悪な存在を遠ざけようとして、私を睨み立ち塞がっている。
ああ、私は奴を知っている。
あの目は、私を責めているのだ。
怒りと憎しみを剥き出し、私を無言でなじっている。
こんなときに限って、夢はだらだらと同じ光景を見せ続けた。
理由はなんとなくわかっている。
これは、深淵を覗いてしまった、その代償なのだ。
最後までしっかり見なければならないのだ。
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