72: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 01:01:21.89 ID:WHcPEpPlo
別の声が言う。
出ていけ、出ていけ、出ていけ。
彼らがこんなふうになってしまったのは、きっと私のせいなのだ。
ずるずると音のない音が聞こえ、私の身体に何かが絡みついた。
明るい灰色で、ところどころに色が散っている。
識別するための赤や青のテープが巻かれているのだ。
どういうわけか、何の疑いもなく、私はそう理解した。
入り乱れる灰色に、妙な懐かしさを覚えた。
背後から、次々に同じような灰色のチューブが姿を現わす。
そのチューブが私に絡みつく。
重心が後ろに傾く。
身動きがとれない。
自分の夢なのに。
後ろに引き摺られる。
これは夢なのに。
彼らから引き離されていく。
これが夢だとわかっているのに。
赤い目玉が、まだ私を睨んでいる。
笑い声が、ぶつんと途切れる。
真っ白だった視界も真っ黒に染まり、夢は幕を閉じた。
なのに私は、まだ眠っている。
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