64: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/04/17(日) 00:43:21.17 ID:WHcPEpPlo
ジュプトル(……さっきの、もう いないな)
さきほど視界をかすめた小さな『何か』は、とっくに姿を消している。
何か大事なものを見過ごしてしまったような気がした。
もっとも、あの『何か』に、とりたてて不審なところがあったわけではない。
ただ気になっただけだ。
ダゲキ「それで、なに?」
イーブイ「みつけたの!」
ジュプトル「……なにを?」
イーブイ「あたらしい の、こ」
ああ、とがっかりしたような声が、上の方から聞こえた。
ジュプトルには、それが深い深い溜め息にしか思えない。
イーブイ「もう! ぼくも ちゃんと、たすける、できたのにー」
イーブイ「がんばったの!」
ダゲキ「あ、ああ……うん」
ダゲキ「そうだね、ちゃんと できたんだね」
イーブイは少し機嫌を損ねたようだ。
それを宥めようとするダゲキのこともまた、ジュプトルは気に食わなかった。
もう誰が何を言っても、等しく気に入らない。
自分でも、その理不尽さはよくよくわかっていた。
イーブイの背後に目を向ける。
うすぼんやりした茂みに紛れてよく見えないが、たしかに誰かがいるようだ。
ダゲキ「どこに いたの?」
イーブイ「うん と……ね、みえる かべの とこ」
難しい顔を見せ、イーブイは前脚で顔を掻いた。
どうやら、上手く言えずに自分でもやきもきしているようだ。
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