441: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/11/12(日) 22:35:34.59 ID:5/00eB3no
カツラの眉がぴくりと跳ねた。
なにかを躊躇するそぶりを見せ、カツラはもう一度自分の髭を撫でた。
カツラ「友人は……」
カツラ「いや、『あれ』の父親は、長いこと鬱ぎ込んでいる」
カツラ「どんな形であれ元気にやっているとわかれば、少しは気が晴れるかと思ってな」
カツラ「厄介者といえども、親にとっては子供だ」
アロエ「気に入らないね」
アデク「ふむ……わしも、どうにも引っかかるぞ」
カツラ「どこがかな」
アロエ「全部だよ」
大声でこそないものの、アロエの口振りは怒り狂っている。
喚き散らしたいのを必死で抑えているようだ。
アロエ「『あれ』だの、『これ』だの、さっきから……」
アロエ「ず……ずいぶんな言い草じゃないか」
アロエ「あの子はモノじゃないし、怪物でもない」
カツラ「……」
アロエ「あの子にはあの子の意思があって一生懸命生きてるんだ」
アロエ「間違っても、さっきあんたが言ったような、力で他人を黙らせるための道具じゃない」
アロエ「ましてや、存在するだけで争いを引き寄せる厄病神みたいに扱うのはやめて」
アロエ「それに、なに?」
アロエ「黙って聞いてりゃあ、結局あんた、友人とやらの機嫌を取ることしか考えてないじゃないか」
アロエ「そのくせあの子のことは、どれだけ危険で厄介な存在かって話ばっかり」
アロエ「いかに扱いにくい兵器だったかって情報、そんなに大事?」
アロエ「あんたにとって、あの子はなに?」
アロエ「関わりたくないけど、気落ちしてる友人を元気づける土産話にはなってもらいたいってわけ?」
カツラ「……友人は、『あれ』にしたことを心から悔いている」
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