442: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/11/12(日) 22:37:43.30 ID:5/00eB3no
カツラの言葉に、アロエは何かを感じ取ったらしい。
より一層、怒りをあらわにカツラに噛みついた。
アロエ「……ああ、そう……そういうこと」
アロエ「あんたたちお偉い科学者があの子になにをしたのか、あたしは知らないし知りたくもないけど」
アロエ「人としてやっちゃいけないことをたくさんした、ってのだけはわかったよ」
カツラ「やってはいけないこと、か」
カツラ「否定はできないな」
アロエ「あんた、研究所って言ったね」
アロエ「ポケモンってのは、トレーナーと一緒に成長して強くなるもんだ」
アロエ「『強いポケモン』を試験管で造りゃいいってもんじゃない」
カツラ「あの頃の彼に、そのような思慮深さを求めるのは酷な話だったがね」
アロエ「事情は、さっきの話でまあ察するよ」
カツラ「それに事故があってからというもの、あいつはすっかり意気消沈してしまった」
アロエ「……でもそれが人倫に悖る酷い話のどこを正当化できると思うの」
アロエ「あの子はかわいそうなことに最ッ低な父親のところに生まれさせられて」
アロエ「よってたかって尊厳を踏み躙られて」
アロエ「それが嫌で、ドア蹴破って家出してきただけじゃないか」
カツラ「その『家出』のために、研究所を瓦礫の山へと変え、人命が失われたたとしてもか」
カツラ「指一本動かすことなくだ」
アロエ「だから『人間への脅威』扱いしろっての?」
アロエ「なんでそんな力任せの方法を採ったか、あんたたちが一番よくわかってるでしょうに」
アロエ「こんなこと言える立場かどうか知らないけどね、あんたたち親としては最低」
アロエ「かわいそうに、人間は嫌いだなんて、あの子にそんなことまで」
レンジャーの頭を、なにか妙な感覚をよぎった。
だが、それがなんなのかわからないまま、違和感は霧散してしまった。
なにか、かなり重要なことを彼女は口にしたよう思う。
この状況では問い質すことも容易ではないが。
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