437: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/11/12(日) 22:22:01.88 ID:5/00eB3no
ふと音が途切れた。
窓の外からかすかに何かが聞こえるだけで、それ以外はしんと静まり返っている。
アロエがアデクからノートを引ったくり、例のページを眺め、そしてノートを閉じてテーブルに置いた。
アロエ「……あの子、というより、あの子に関する情報……っていうのかな」
アロエ「扱いに慎重さが必要ってことは、まあ、わかったよ」
アロエ「さっきの話からすると、居場所どころか存在さえ知る人間は少なくて」
アロエ「しかも『少ないに越したことはない』んじゃないの」
カツラ「いかにも」
アロエ「だったらあんたは?」
アロエ「あの子の居場所とやらを掴んで、どうするつもりなの」
カツラが自分の頭を撫でる。
ううんと唸り、考えているような素振りを見せていた。
カツラ「情報を得て、直接的に何か働きかけようという気は……今のところ、ない」
まるで弁解をしているような歯切れの悪さだ、とレンジャーはそんな感想を抱いた。
アロエ「そんなの、簡単には信じられないね」
アロエ「あの子を積極的に狙うかもしれない連中がいる、とあんたはさっき言ったわけ」
アロエ「だったら、あんたが嗅ぎ回るこの行動こそ、あの子の今の安全を脅かすじゃないか」
アロエ「あの子だけじゃなくて、周りの子たちまで危険に晒すかもしれない」
カツラ「……ほう」
アデク「んー……」
カツラ「だが、あんたらの言動の方がよほど危険だとわしは思う」
カツラ「特に、この若造が危ない」
そう言うと、カツラはレンジャーを指差した。
視線はあくまでアロエに向いたままだ。
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