ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第三幕
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435: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/11/12(日) 22:16:56.09 ID:5/00eB3no

カツラ「そして皮肉にも、『子供』の能力は、父親が求めていたものを遥かに超越していた」

カツラ「奴はその脆弱な首輪を噛み破り、自身の生まれた施設を消し飛ばして逃亡したのだ」

カツラ「公的な記録には、せいぜい『工場で火災』程度しか残らんかったと思うが」

カツラ「怪我人も犠牲者も、ずいぶん出ていたはずだ」

カツラ「もうどれほど前のことになるかな」

アロエ「むごい話」

カツラ「あれの父親は、そのむごい事件の生き残りだ」

アロエ「……そうじゃなくて」


そう言うアロエをちらりと見て、アデクがぎょっとした。

アロエが唇を噛んで床を睨みつけている。

触りぬ神に祟りなし言わんばかりに、アデクはそろそろと目を逸らした。


カツラ「この写真に映っているモノは、カントーに存在したこの研究所の爆破以降、消息がはっきりしなかった」

カツラ「だが、ここイッシュであんたらから話を聞く前に、わしはもうひとつ、情報を得ていた」

カツラ「こちらに来る前、『あれ』は……とある洞窟に潜伏していたと考えられている」

カツラ「もっとも、いなくなった後になって『いたようだ』と考えられるようになった、というだけのことだが」

アロエ「どういうこと」

カツラ「というのも、その洞窟で『あれ』に遭遇したと思しきトレーナーが複数いるのだ」

カツラ「全員、前後不覚の状態で保護されたがな」

カツラ「洞窟に入る前からの記憶もあやふやで、むろん洞窟内部のことは何も憶えておらん」

カツラ「つまり、なんの証言もできない有様だったそうだ」

アデク「それがあいつの仕業だと?」

カツラ「少なくとも、『あれ』にならば可能だ」

カツラ「いや……精度や威力を考えると、『あれ』以外に実行可能な存在は考えにくい」

カツラ「……『あれ』の存在を知らない者が、『あれ』に行き着くことはないだろうが」

アデク「なるほど……」

カツラ「ここにいる人間がみな『あれ』に出会ったというなら……」




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