426: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/10/14(土) 21:32:36.60 ID:8AI6j1dyo
カツラ「当然ながら、金を生まない研究にも、高尚なだけの科学的探求にも、連中は興味を持たない」
カツラ「あの研究に連中なりの、だが極めて即物的な利益が見込めたというだけのことだ」
アロエ「ヤドン乱獲事件でも名前が出てなかった?」
アデク「……あれは末端の人間が尻尾切りされて終わったように記憶しているが」
アロエ「うまいこと言ったつもり?」
アデク「……」
カツラ「大量捕獲、あるいは量産、あるいは成長促進、あるいは……」
カツラ「そして……『これ』が、彼の造り出した研究成果、集大成というわけだ」
そう言いながら、カツラは懐から小さな紙片を取り出してテーブルの上に置いた。
三人が一斉にそれを覗き込む。
カツラ「もっとも、連中が求めていたものとは少しばかり違う成果物になってしまったわけだが」
紙片は、少し厚みのある紙に出力された写真だった。
といっても、一般的な紙焼き写真ではない。
カラーだが、やけにぼやけていて、明暗が極端に出ている。
なにかの映像を一時停止し、無理やり拡大したのち印刷したもののように見えた。
レンジャー(監視カメラの映像……?)
カツラ「あんたら三人は、ここに映っているモノに見覚えがあるはずだ」
写真には白っぽい何が写っている。
カツラが『モノ』と形容するわりには、人影に見えなくもない。
人間にしては背が高いように思うが、比較対象になるものが写り込んでいないのではっきりしない。
その上、写真の半分ほどが濃い灰色のもやもやした何かに覆われている。
手前に写り込んだ障害物にしては、その灰色は不定形な印象を持っていた。
黒煙というのが一番近いように思えた。
もやがあるために、白い何者かの全貌はわからない。
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