394: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/08/29(火) 23:07:26.92 ID:Bxagxrqso
レンブはぎくりと顔を上げた。
我に返ってみると、自分の心臓が銅鑼のように鳴っている。
妙に汗をかいているが、暑さのためだけではない気がする。
どうやら白昼夢を見ていたようだ。
周囲を見回しても師匠はおらず、無論ここはフィールドでもない。
太陽の位置もあまり変わっていない。
たださきほどまでと違い、少し耳障りな音が規則的に聞こえている。
キャスターのコール音だ。
発生源は壁を何枚か隔てた事務室らしい。
道場へはキャスターを持ち込まないから当然といえば当然だが。
というか、普段も荷物に放り込んでいる。
もちろん、師匠ではないから使い方はわかっている。
腕で額を拭うと、夕立ちを潜り抜けてきたようにびっしょり濡れていた。
それが膝にしたたり、愛想のない色の染みを作る。
レンブ(……なんだか、嫌な予感がする)
コール音は間断なく響いている。
なかなか途切れないところを見るに、はっきりと用がある相手なのだろう。
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