389: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/08/29(火) 22:57:25.16 ID:Bxagxrqso
???『お前さんは、負けるといつもそんな顔になるなぁ』
私はその顔を見上げ、いや、睨みつけた。
力いっぱい拳を握り悔しがる私に、彼は呆れて――違う、困っていた。
口は笑ったままだったが、眉根を引き上げて溜め息をついている。
???『まったく困ったものだ』
???『勝負に負けることがそんなに嫌か』
???『それとも、“わしに負けた”のが気に入らんというだけか』
そう言われて、余計に私は腹を立てた。
そんなことを改めて問う彼に。
思うように動いてくれない自分のポケモンに。
いくら足掻いても師匠に勝てない自分に。
???『そうまでして、なぜお前さんはわしに勝ちたい』
彼の言葉にカッと怒りが込み上げる。
挑発された、と当時の私は受け取ったのだ。
今にして思うと、ただ疑問を口にしただけだった気もするが。
よくもまあ、いちいち腹を立てていたものだと自分でも思う。
謙虚さや克己の精神から、少しばかり距離を置いていた時期だったのだ。
???『おい、わしを睨んだところで何も変わらんぞ』
???『いつも言っとるだろうが』
???『よく考えろ、と』
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20