382: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2023/08/01(火) 23:54:16.22 ID:9Ps6NfVqo
扉の先は広い事務室になっている。
普段は職員が諸々の仕事をしたり、あるいは待機しているだけだ。
今は事務仕事をしている職員が一人。
それから、何も載っていないトレーを抱えて妙に困り果てた様子の職員が一人。
部外者を二人も引き連れて館長が事務室に戻ってきたのだから、当然といえば当然だ。
アロエはまっすぐ奥に視線を向けた。
事務室を抜け職員用の廊下を進めば、その奥に小さめの保管室がある。
目指しているのはその保管室だ。
???「おお!」
アロエは突然、大声で横っ面をはたかれた。
一瞬ののち、はっとして足を止める。
聞き覚えのある声だ。
誰の声だっけ、とアロエは思う。
知り合いの声だ。
それも、自分に向けられている。
キイ、という椅子の軋む音がした。
アロエは慌てて声の方を向く。
???「久しいな、アロエ」
誰も使っていない席の椅子に、だらしなく座る男がいた。
暖色のポンチョに、大雑把な頭、裸足にサンダル。
首にも腰にもボールを下げ、リーグ規定以上の数を持ち歩いている。
机の上には、水滴のついた空のグラスが見えた。
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