381: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2023/08/01(火) 23:48:45.47 ID:9Ps6NfVqo
レンジャーもばたばたと荷物をサックに詰めている。
アロエは『ふう』と息を吐く。
ずっと息を止めたままだったような気すらした。
アロエはさりげなく周囲に目を配る。
やはり、もう誰も注目していない。
館長が介入したことで、言い争いも収まるものと判断されたのだろう。
騒いだ利用者二人が館長に叱りつけられただけだ。
少なくとも、他の利用者にはそう見えたはずだ。
『そう見える』ことがなによりも肝心なのだった。
アロエ「じゃあ、ついて来なさい」
若者は怯えている。
かわいそうなことをしてしまったかもしれない。
ひとりだけ、状況がよくわかっていないに違いない。
だが、もう少しだけ我慢してもらうしかなかった。
アロエは書架の間を縫って、バックヤードに向かった。
背後からは、硬い床を踏む二人の足音が聞こえている。
すたすたとカウンターを回り込み、躊躇する二人を手招きする。
二人がカウンターの内側に入ったのを確認すると、アロエは奥の扉を開けた。
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