375: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2023/08/01(火) 23:35:45.25 ID:9Ps6NfVqo
もう片方は旅行者か何かだろうか。
キャリーカートをそばに置き、相手の肩と机の上の何かに手を伸ばしている。
アロエ(……あの男、たしか)
男の風貌は特徴的だ。
細身の禿頭で、年格好は老人に見えなくもない。
だが洒落た身なりで背筋は伸びており、足腰にも危うさは見えない。
アロエ(間違いない)
アロエ(でも、なんでこんなところに)
どうやら、禿頭の男が座っている青年からノートをもぎ取ろうとしているらしい。
双方とも一応は声を潜めており、喧嘩というほどではなかった。
周辺の利用者はかすかに眉を顰め、遠巻きにしているだけだ。
アロエの姿を認め、ちらちらと見てくる利用者もいる。
しかたなく、アロエはつかつかと近寄った。
アロエ「アンタたち」
アロエ「悪いんだけど、騒ぐなら外でやんなさい」
アロエの声に、二人が顔を上げて彼女を見る。
一瞬怪訝そうな目をしてから、着席している方が『あっ』と小さく叫んだ。
アロエの顔を知っているようだ。
目を見開いてこちらを見上げている。
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