316: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2018/06/09(土) 23:53:11.97 ID:lH8SKUuEO
身長からの割合でいえば小さめの頭部。
その下に直立した胴体が恐らく続いている。
足がどのあたりから生えているかわからないが、二足歩行に違いない。
あんなふうに背筋を伸ばして歩行する種類はあまり多くない。
ちらっと見えただけだが、体長と同じくらいの長い尾があったように思う。
外套のように大きな布を身につけているようだ。
頭からすっぽりと被り、顔つきはわからない。
姿を人間に見られたくないのだろう。
角か耳か、頭部の左右にかすかな盛り上がりがあったような気がする。
レンジャー(よし、あんまり似てないけどそれっぽく描けたかな)
レンジャー(……はあ)
溜め息とともにノートを押し退ける。
『恐らく』、『違いない』、『思う』、『だろう』、『気がする』。
要は“なにもわからない”。
迂遠さを垣間見て、うんざりしたのだ。
何も知らないことを改めて突きつけられるのは面白くない。
もとより、手元に大した情報はないのだが。
本を抱えた誰かが、机の横を通り過ぎていった。
自分の落書きを無意識に手で隠す。
見られて困る理由は特になかったが、なんとなく憚られた。
レンジャー(ここまでわからないとは思わなかった)
レンジャー(困ったな)
彼らが助けを欲したとき、自分は何かしてやれると思っていた。
少しは何かしてやれていると思っていた。
実際にはこのざまだ。
何かしてやるための手掛かりさえ掴めない。
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