315: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2018/06/09(土) 23:48:16.82 ID:lH8SKUuEO
手元のノートにペンを走らせる。
ぼんやりと苛立ちながら線を引く。
何度も線を重ね、色を濃くしていく。
静かな室内ではその音も少し耳障りだ。
他の利用者は、もっと意味のある音をさせている。
たとえば文字を書くとか、ページを捲るとか。
レンジャーは不意に顔を上げた。
誰かの視線を感じたように思ったのだ。
周囲を見回しても、それらしい顔見知りもいないようだ。
レンジャーの肩書きこそあるものの、たかが下っ端に大した力はない。
一般人も同然だ。
今はユニフォームですらなく、地味な私服に身を包んでいる。
誰かにことさら視線を向けられる理由は思い浮かばなかった。
気にしすぎだろう、と自分を納得させる他ない。
そうするうち、白いノートには、特徴的なシルエットが描き出された。
レンジャー(こんな感じだったかなあ)
レンジャー(いや、もうちょっと、こう……ローブみたいに被ってたかな)
レンジャー(木の間からはよく見えなかったけど)
レンジャー(屋根の上にいたときは、少しだけ見えたよね)
ペンを投げ出し、改めて自分の描いた絵を見る。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20