317: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2018/06/09(土) 23:54:53.68 ID:lH8SKUuEO
机の上には、既に目を通し終えた図鑑が山と積まれている。
イッシュ地方は“いの一番”に調べたが、当然のように空振りだ。
有り体に言えば、ここに積まれた本のどれもが外れだった。
どの地方の図鑑にも載っていない。
似通った部分のある種類さえいない。
そうして考えていくほどに、また別の疑問が明確になっていく。
あのポケモンは、つまるところいったい何者なのだろう。
まず、もちろん人間ではない。
ではどこから来た、どういう素性のポケモンなのだろうか。
これまで深く考えることは敢えて避けてきた疑問だった。
自分と彼らの関係において、そこに踏み込むのは無用な詮索でしかないからだ。
だが今は、それこそが鍵になるような気がしていた。
少なくとも人間には未知のポケモン、ということにはなる。
ならば、なぜ人間の物を持っている。
なぜ汚れた布を頭から被り、姿を包み隠そうとする。
人間を嫌い、憎み、遠巻きに友人たちを見守るのか。
その姿勢こそ、過去に人間の介在があったことを意味するのではないのか。
……ならばなぜ?
読み終えた本の、その隣の山に目を移す。
まだほとんど手をつけていない、毛色の違う本ばかりが残されていた。
信憑性の極めて低い都市伝説や伝承、噂ばかりが載った本だ。
図鑑といえば間違いではないが、情報としての意味はあまりない。
子供向けの本もある。
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