297: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2018/04/09(月) 00:44:10.29 ID:pdxvH6grO
助け船を得られないことがわかると、ジュプトルは諦めてこちらを見上げる。
肩を竦めるしぐさで肯定の意思を示した。
目には不安の色がまだ濃い。
レンジャー「ならいいんだけどさ」
レンジャー「それにしても、いったいどういう風の吹き回しだよ」
レンジャー「今まで、ぜんぜん来てくれなかったのに」
レンジャー「なあダゲキ」
ジュプトルの身体をあちこち調べながらダゲキに問いかける。
ダゲキは短く鳴いただけで、それ以上は何も言わなかった。
今日は黙って見守る兄貴分に徹する、といったところだろうか。
同種の個体を見たことはあるが、まるで遠近感を誤ったように小さく感じる。
この森で初めて姿を見た頃からずっとその印象のままだ。
根本的な体格の貧しさは、人間でいう欠食児童を連想させた。
一応、現時点で病気や怪我があるようには見えない。
レンジャー「何か困ってたりしないか」
改めてジュプトルの顔を見る。
ジュプトルは首を傾げ、慌てたように首を横に振った。
レンジャー「うん? そう、大丈夫なのか」
レンジャー「じゃあ……わざわざ顔を見せに来てくれたってこと?」
ジュプトルが頷く。
ダゲキを盗み見ても、特に否定する気配はなかった。
レンジャー「なんだよ、ほんとにどういう心境の変化だよ、おい」
レンジャー「ほんとにさ、びっくりしたんだから」
笑みを噛み殺しながら、レンジャーは手を掲げようとした。
ジュプトルが反射的に首を竦めて目を閉じる。
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