293: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2018/04/09(月) 00:35:38.27 ID:pdxvH6grO
ああ、うう、と少し耳障りな鳴き声を上げ、懸命に話しかけてきている。
当然、何を言っているのかさっぱりわからない。
今日までの『積もる話』を、懸命に教えてくれている気がした。
レンジャー「とりあえず元気みたいだなー、安心したよ」
レンジャー「……あれ、お前だけ?」
するとコマタナは喚きながら両手を振り払い、自分の後方を示した。
なまくらの指先を向け、『あっちを見ろ』と促している。
レンジャー「だよなあ、保護者同伴ってやつか」
立ち上がり、レンジャーは大きく手を振った。
数メートル離れた場所に見慣れたシルエットの持ち主がいる。
コマタナがその影に駆け寄り、彼の腰にしがみついた。
レンジャー「おーい、ダゲ……」
彼は強い日差しに目を細めることもせず、立っている。
いつものように、やはりコマタナはダゲキが連れて来たのだ。
どこか卑屈そうで表情の薄い、いつもの彼が――
レンジャー「おいなんだよ、その顔」
レンジャーはぎょっとして息を呑んだ。
ダゲキが少しだけにやにやしている。
まさかと思って瞬きしても、やはり不思議な表情を浮かべている。
笑いを噛み殺しているとか、いたずらでも目論んでいる顔だ。
もしくは、誕生日のサプライズを隠しきれない子供のような顔。
よく見ると、ダゲキのうしろにもうひとつ小振りな影がある。
もうひとり誰かがいるのだ。
ダゲキの脛のあたりから、緑色の揺れる何か――誰かがちらっと見えた。
それが何を意味するのかを理解して、レンジャーは急に浮き足立った。
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