292: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2018/04/09(月) 00:32:38.48 ID:pdxvH6grO
日光が視界を灼く。
風景が少し揺らめいている気すらした。
目が慣れるに従って、足元に小さな影が佇んでいることが認識できた。
レンジャー「わ、お前かぁ……びっくりさせるなよー」
安堵の溜息をつきながらレンジャーはドアの外へと這い出した。
見覚えのあるコマタナが大きな目を見開いて、自分を見上げている。
コマタナ「ゔ!」
小さなコマタナは、両手を振り上げて自身をアピールした。
レンジャー「うんわかったわかった」
手で自分の顔を拭い、深呼吸する。
レンジャーは屈み、コマタナの目の高さに視線を合わせた。
コマタナの顔を両手で包み込んで感触を確かめる。
保育士かなにかにでもなった気分だ。
コマタナはびっくりしたのか目を見開いたが、されるがままで立っている。
レンジャー「元気なのかあ?」
コマタナ「ゔ?」
警戒されていないことに安堵しながら、素早くコマタナを調べる。
相変わらず、後頭部の硬い部分には痛々しい凸凹がある。
これは、時間が経ってもきっとこのままなのだろう。
あわれな濁声に、紙切れ一枚も切れないなまくらの両手。
レンジャー「……栄養のあるもん、ちゃんと食べてるみたいだな、偉いぞ」
コマタナ「お゙、お゙……?」
見るも憐れな箇所はあるものの、ざっと調べた限りでは元気そうだ。
こうして顔を見せる気力があることにもほっとする。
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