280: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2018/02/07(水) 00:00:40.66 ID:Esng2uEHO
ふっ、と空気の壁が消えた『感じ』がした。
同時に風が止み、頭の葉も無抵抗に垂れ下がる。
こんな妙な感触を、友人は飛ぶたびに味わっているのかと思うと、心臓が縮む。
見上げると、刺さりそうなほど細い月が黒い空に浮いている。
まだ夜は明けないらしい。
少し遅れて、ヨノワールが近くに降り立った。
といっても足はないので、少し浮いたところで止まっているのだが。
その背中には、岩に生えた苔のようにダゲキがしがみついている。
丸い後頭部がきょろきょろと不安そうに動いているのが見えた。
そして足元を見回し、転げるようにして背中から降りる。
なんとか着地はうまくいったようだが、傍目には落っこちたようにしか見えない。
地面に降りてからも、まだ少しよろよろしている。
彼も自分と同じで高所は不得手ということなのだろう。
そう思うと不思議と安心感が芽生えたので、自分も飛び降りることにした。
少なくとも自分なら、あんな風に無様なことにはならないはずだ。
そう思って、ミュウツーのマントから慣れた動きで跳躍してみせる。
ジュプトル「あっ」
ところがどういうわけか、ジュプトルは顔から着地していた。
思いきり擦った顎が痛い。
あっという間に、みんなの視線が自分に集まった。
ジュプトル「……」
ダゲキ「だいじょうぶ?」
自分でもよくわからない。
ジャンプするときに足がもつれたような気がする。
いつもなら、軽々と降りられるはずの高さなのに。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20