266: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/12/15(金) 00:35:05.32 ID:cuM9FlSYO
アクロマ「強化案の方は、今の時点でお見せするものはありません」
アクロマ「こちらで進めていたもののひとつとアプローチは同じですし」
アクロマ「遠からず解析が終了します」
アクロマ「そののち、試験を経て装甲に組込む手筈になっています」
ゲーチス「それは結構です」
彼らは手元と円筒形の水槽を交互に見ては、紙になにか書きつけていた。
水槽は彼ら自身よりずっと大きい。
通信のためのものではないため、音声は遠い幻聴のようにしか聞こえない。
画質もあまりよくない。
水槽の中に何が、あるいは誰がいるのかよく見えない。
かろうじて、大きな何者かが入っているとわかる程度だ。
青白い光に照らされ、まるで悪趣味なインテリアだった。
アクロマ「見えますね?」
ゲーチス「ええ、なかなかの眺めです」
アクロマ「順調ですよ、『いっそ腹立たしいほど』」
ゲーチス「あなたにしては感情的ですね」
アクロマ「……私が言ったことではありませんから」
そうだろうとゲーチスも思っている。
アクロマはゲーチスを見て、ぎょっとしたように目を見開いていた。
アクロマ「……」
アクロマ「もっとも、心情的には十分に理解できますが」
アクロマ「実際、わたくしが『彼』の立場だったら、同じように感じない保証はありません」
アクロマ「いい意味で想定を遥かに上回っていましたから」
ゲーチス「よいことです」
そう話を切り上げると、ゲーチスは再びモニタを見上げる。
アクロマもまた意識を本題へと振り戻したいらしく、手元の資料に目を落とした。
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