265: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/12/15(金) 00:31:08.59 ID:cuM9FlSYO
アクロマ「たしかに……支障は、なにもないです」
アクロマ「計画の趣旨に変化があっても、計画の中身に変更はないわけですから」
アクロマ「悪意ある言い方をすれば……」
アクロマ「『“彼”に知られなければ、何をしてもいい』わけで」
アクロマ「むしろ、これまでより制限は少なくなっています」
アクロマ「『より強力な手札』が目的に加わることで……」
アクロマ「いや『手札』どころの話ではありません」
アクロマ「手に入れれば、あるいはあれだけであなたの本当の目的は達成できるかもしれない」
アクロマ「世界征服など赤子の手を捻るようなものだ」
独り言のように呟き続けている。
さきほどまでと打って変わって、アクロマは力なく俯いていた。
その姿は、罪を告白し懺悔する罪人にも見える。
ゲーチス「だが、赤子の手を捻るには……」
ゲーチス「小煩い母親を退けなければならない」
アクロマ「……そうですね」
ゲーチス「どの程度の成果がありましたか」
アクロマは、はっとして顔を上げた。
そわそわしながら眼鏡に触れ、怯えのような視線をゲーチスに向ける。
落ち着きに欠けた彼の姿は、ゲーチスにとって実に滑稽だった。
アクロマは素早くモニタに向き直った。
無駄のない動きで何かを操作し、ゲーチスに目で合図を送る。
その動きを認めると、ゲーチスも視線を大きなモニタへと向けた。
アクロマ「成果……そうですね、目覚ましい成果が上がっています」
アクロマ「あなたの部下が手に入れてきてくれたもののおかげです」
画面には、すでにどこかの暗い部屋が映っている。
見知った研究室だった。
白衣を着込んだ研究員たちが、 せわしなくうろうろしている。
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