263: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/12/15(金) 00:24:29.13 ID:cuM9FlSYO
怪訝な表情でアクロマがこちらを見た。
ゲーチス「ご心配には及びませんよ」
最大限に慇懃無礼な答えを投げ、ゲーチスは口を歪める。
アクロマはその返答に少し気分を害したようだ。
アクロマ「……先日から、少し様子がおかしいですよ」
ゲーチス「なんの様子ですか」
アクロマ「あなたのです」
椅子をゲーチスの方へくるりと回転させて、膝に手を置く。
さっさと続きを言えばいいのに、彼はなかなか口と開こうとしなかった。
すっかり飽きたゲーチスはアクロマから目を背け、再び自分の腕を眺めた。
ゲーチス(……?)
自身の腕に、不穏な痣を見たように思った。
まるで、赤く脚のない縄状の生き物が絡みついた跡だ。
こんなに目立つ痣が、今まで腕にあっただろうか。
そう思ってまばたきすると、痣はすっかりなくなっていた。
いや、そんな痣など、はじめからなかったのだ。
ゲーチス「そうですか」
アクロマ「……」
アクロマ「ええ、間違いなくおかしい」
彼にしては珍しく言葉の端々に嫌味が込められている。
それも当然だろう、とゲーチスは内心、笑っていた。
アクロマ「わたくしはこれでも、あなたを以前から知っています」
アクロマ「知っていた……つもりです」
アクロマ「ですが」
アクロマ「最近のあなたは……どうにも普通ではない」
ゲーチス「どこが普通ではないのでしょう」
アクロマ「うまく説明はできませんが……」
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