247: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2017/09/12(火) 00:24:11.04 ID:LI7cZ/eGO
ダゲキが近くにあった本を手に取り、開いた。
眠そうなジュプトルが横からやる気なく覗き込む。
どんな本なのか、ここからでは見えない。
ダゲキは本を開いたまま右手を握ったり、指を伸ばしたりしている。
中身を真似ているのか、本と首っぴきで手を動かし始めた。
ジュプトルが何度目かの大きなあくびをする。
しかたなく、ヨノワールは手近な書架に近づいて背表紙を眺めた。
見知った文字はあるが、どれも見覚えのある図形でしかない。
意味はちっともわからない。
もっとあの人の仕事に興味を持っておけばよかった、とヨノワールは後悔した。
そうすれば、今頃はこの背表紙くらい理解できたに違いない。
あの人が残したものも、独力で読み解けたに違いないのだ。
ぐるりと書架に背を向け、そっと腰を下ろした。
この位置ならば室内の全員が見渡せた。
ミュウツーがアロエに顔を向けた。
つられてヨノワールもアロエを見る。
自分に注目が集まっていることに気づいたか、アロエが顔を上げた。
アロエ「?」
ミュウツー『そろそろ帰ろうと思う』
アロエ「そう? もっとゆっくりしてってもいいのに」
そう言いながら、壁の大きな時計を見る。
かすかに眉間に皺を寄せ、彼女は残念そうに笑った。
アロエ「……ああ、もうこんな時間か、そうだね」
アロエ「キミたちもいいかげん疲れただろうし」
ミュウツー『特にこいつらはな』
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