241: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2017/09/12(火) 00:06:52.19 ID:LI7cZ/eGO
ヨノワールは、遅れて戻ったダゲキを静かに観察していた。
様子のおかしい彼のことが、どうにも気がかりだったからだ。
当のダゲキは、戸惑った表情でおとなしく引き摺られている。
一方、彼の手を引いて帰ってきたアロエは少し困ったような笑顔だ。
ダゲキはヨノワールたちに気づくと、緊張した面持ちで何かに釘付けになった。
ミュウツー『大丈夫か』
声が目の後ろあたりを突き抜けていく。
聞き慣れたミュウツーの、テレパシーによる声だ。
その声で我に返ったのか、ダゲキはやけに驚いた表情を見せた。
何か言いかけ、そして空いている方の手で口を塞ぐ。
うっかり“いつもと同じく”喋ってしまいかけたということらしい。
息を飲み込んで口を引き結び、黙って首を縦に振った。
ヨノワールもミュウツーを仰ぐ。
ちょうど大きく息を吐き、腰を下ろすところだった。
ミュウツー『……そうか』
ヨノワールはふたたび、いま戻ったばかりのダゲキに目を向ける。
見たところ、おかしな様子は影を潜めているようだ。
まだ寝起きのようなおぼつかなさはあるが、目つきも足取りもしっかりしている。
いつもの彼に戻りつつある。
少なくとも、ヨノワールにはそう見えた。
自分でも気づかないうちに、ヨノワールは胸を撫で下ろしていた。
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