240: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2017/09/12(火) 00:01:17.85 ID:LI7cZ/eGO
アロエ「……今頃、大慌てであの布っきれを被ってるところなんじゃない?」
アロエ「あれ、前にいたところから持ってきたのかな」
アロエ「キングサイズ?」
アロエ「あんな大きなシーツ、見たことないよ」
アロエ「……」
アロエ「大変だよね、あの子も」
少しだけ笑った顔を作り、アロエは優しい声で言う。
アロエ「うちにいらない生地とか、あったかな……」
ダゲキはなにも反応できないまま、二三度まばたきした。
人間が何を考えているのか、よくわからない。
音がやんだ。
彼女に続いて、ダゲキも書斎に踏み入る。
今度はガタガタとスツールをずらす音が聞こえ始めた。
同時に、書斎の奥で誰かがすっと伸び上がる。
音と動きにつられて、ダゲキはその方向に目を向けた。
呻いて息を呑む。
やわらかな蝋燭の光に照らされる、背の高いミュウツーの姿が見えた。
すぐそばでヨノワールが心配そうに佇んでいる。
ミュウツーの頭部から長く垂れたシーツが、足首のあたりでかすかに揺れた。
そのために、隠したいはずの白い手足がわずかに見え隠れしている。
人間から外見を隠すために全身を覆っているのに、不思議と堂々としている。
まるで、ミュウツー自身がおぼろげに光を放っているかのようだ。
見慣れた姿だ。
その姿に、ダゲキは息をするのも忘れて見とれていた。
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