238: ◆/D3JAdPz6s[sage saga]
2017/09/11(月) 23:51:53.62 ID:rkTzmv0FO
硬い床の上に立っているのに、足元は妙にふわふわしている。
身体の表面が痺れて、頭の芯までぼんやりしていた。
全身の血の巡りが急に悪くなったような感触だ。
自分とそれ以外の境目が妙に不明瞭に思えた。
今の自身の状態について、ダゲキはそんなふうに認識していた。
いつもは当然のように区別できているのだが。
というよりも、その点で疑問を抱いたことすらなかった。
ぐったりするほど眠いようでいて、目の裏はぎらぎらしている。
動けないほど身体は重いのに、宙に浮いている感じがする。
周囲は目に映っているのに、よく見えない。
音は耳に届いているのに、よく聞こえない。
今度は首筋がひやりとする。
暑さと寒さが交互にやってくる。
びりびりした鋭い痛みと、痺れたような鈍い痛みを同時に感じた。
――……くりでいいから、息を深く吸……
不明瞭な雑音としか感じられなかった音が、徐々に言葉として意味を持ち始めた。
かけられた言葉の内容が、だんだん理解できるようになっている。
息を吸え?
言われたとおりに、ダゲキはゆっくりと息を吸った。
機械油を溢したようにぎらぎらしていた視界が、少しずつ元に戻っていく。
自分が今、ひんやりした硬い地面に足をつけていることが認識された。
重心が爪先の方にかかっていることも。
――ここには、あたししかいないから
――だから大丈夫だよ
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